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最後の食べもの 店主のひとくちエッセイ001



     暑さが続くと、食欲もおちますね。


     体力のためにも、おいしいものを召し上がってください。

     さて、お客様とよく話題になる話ですが、


     人生の最後に何を食べたい?


     皆さん、楽しそうに話しています。


     寿司、ステーキ、ラーメン、カレー、鰻、

     中には、卵かけごはん、おかかメシ・・・

     ある人は、母が作ったみそ汁、年配のわたしとしては

     なるほどと思います。


     ふと、思ったんですが、死ぬ間際に食べ物の

     ことなんかを思って死ぬなんて案外いいなと。


     ああ、あの子と食べたナポリタン、美味かったな~


     祖父と七輪を囲んで焼いたイワシ、最高だつた。


     そう、食べ物よりは、誰と食べたか。


     あなたは、だれでしょうか?




     伊丹十三の「タンポポ」という映画の最後のシーンで、

     銃で撃たれて、死ぬ間際の男が、

     愛人に抱かれながら、


    「冬、イノシシは、食べるものがないので、

     土を掘って、山芋ばかり食べていて、

     イノシシの腸には、山芋がたっぷり詰まっていて、

     それを焼いて食べると、美味いんだ」


    「あんた、美味しそうね、

     わさび醤油なんかいいわね」


    「おまえと、一緒に食べたかったな」


    なんか、いいセリフですね。


    降りしきる雨に、マーラーのアダージェットが

    美しく流れていました。



    さあ、誰かと、美味しい物を食べましょう。

    みなさまのお越しをお待ちしております。


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